個人情報とは何かー「個人情報」に当たるかどうかの考え方の基本

個人情報
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個人情報の定義

突然ですが、個人情報とは何でしょうか。
氏名や住所、電話番号やメールアドレスなどが思い浮かぶ人も多いでしょう。
この点、個人情報保護法では、「個人情報」は以下のとおり定義されています。

二条 この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
一 当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(文書、図画若しくは電磁的記録(電磁的方式(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式をいう。次項第二号において同じ。)で作られる記録をいう。第十八条第二項において同じ。)に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項(個人識別符号を除く。)をいう。以下同じ。)により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)
二 個人識別符号が含まれるもの

この定義を見てお分かりのとおり、個人情報とは、①生存する個人に関する情報であること、②特定の個人を識別できること(個人識別性)、③他の情報と容易に照合でき、それにより特定の個人を識別することができることとなるもの(容易照合性)、という3つの要素から判断されます。
もっとも、このうちの①は、死者に関する情報は個人情報ではないことを裏から述べた程度ですので、実際には、②と③で個人情報該当性は判断されます。

個人識別性

例えば、氏名は、社会通念上、それ単体で個人を識別することができると考えられていますから、氏名単体で個人情報に当たるとされています。世の中、同性同名の人はたくさんいますから、氏名だけで「特定の個人」を識別することはできないのでは?との考え方もありますが、そこは、社会通念に従って判断されるということです1「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)(案)」に関する意見募集結果No.6 https://www.ppc.go.jp/files/pdf/2811_bessi2-1.pdf
他方、住所は、それ単体では単なる場所を示す情報であり、それがわかったからといって特定の個人を識別できるわけではありません。電話番号も、それ単体ではただの数字の羅列であり、個人識別性はありません。

ではなぜ、電話番号や住所、メールアドレスは個人情報と言われるのでしょうか。
それは、それ単体で取得されることは通常ないからです。氏名だけ分かっても、電話、郵送、メール配信等ができず、まともなサービス提供はできないでしょう。

かくして、氏名や住所が組み合わさって始めて、「特定の個人を識別することができる」ようになるのであり、かつ、通常は組み合わせで取得されるが故に、個人情報として扱う必要が生じるのです。
つまり、上記の定義のうち、「(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)」(③容易照合性)という部分が重要な意味を持ってきます。

実務上は、「住所や電話番号は個人情報だ」などという言い方がされますし、メールアドレスも、ABC株式会社の123さんのアドレスなどは「123@abc.com」などとされることが多いから個人情報として扱ったほうが無難、といった具合に考えられているように思います。
実運用上はそれでよい場合がほとんどです。しかし、サービスやプロダクトを作る段階や、第三者に適法性に疑義を呈されたときなど、そのような(悪く言えばアバウトな)把握の仕方では足りない場面もあるのです。

次回は、重要な「容易照合性」の考え方について解説します。

 

 

本記事に関する留意事項
本記事は掲載日現在の法令、判例、実務等を前提に、皆様への情報提供として一般的な情報を掲載するのみであり、その性質上、特定の個人や団体に具体的に適用される個別の事情に対応するものではありません。個別の事案に適用するためには、本記事の記載のみに依拠して意思決定されることなく、適用に関する具体的事案をもとに適切な専門家にご相談ください。

 

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